自分らしく
動き続ける「芯」を
馬場麻里子(兵庫県・明石市在住)
プロコース3期
関係性はこんなもんだ、じゃない
プロコースの学びの中で、私にとって一番大きかったことは、職場やプロコースの仲間のいろんな人の話をグラフィックファシリテーションする中で、自分だけが特別じゃないと気づいたこと。それまでは、医療業界は難しい業界で特殊だからしょうがない。色々と苦しいことがあっても患者さんのために働く意味や価値があるし、そういう存在が必要だと思っていて、現状を仕方ないと諦めているという認識もないくらい当たり前に頑張っていました。でも、どうしようもなくガチガチの中で身動き取れなくなっている自分もいて…。
でもそれは、私だけではなかった。職場のみんなが、それぞれ同じようにその中にいて、それでもなんとか頑張ろうと、もがいていた。お互いの奥底に共通のものがあるんだと気づいたら、少し開かれた気持ちになりました。
そのうちに、本当に身近な回りの人との関係、家族や友人との関わりも一緒なんだと気づいて…。この関係はこんなもんだと、いつの間にか思い込んだり、割り切ったような感覚があったのだと思います。でも私と同じように、相手にも気持ちがあって、その気持ちや関係性は、やり取りする中で変わっていけるんだと思えてきて。自分への信頼、相手への信頼が育まれていきました。
軽やかに踏み込むことで、自分らしく楽に
必要な時に踏み込める力がついたのも、関係性を変化させていく大きなきっかけになって。それも喧嘩腰でなく、おかしいなと思った時に、「それはちょっと違うかも」「私はそうは思わないな」と自然に声を出せるようになりました。自分らしく自然に、軽やかに踏み込めるようになったので、私も、踏み込まれた相手も、楽にコミュニケーションできるようになったように思います。
プロコースが始まったばかりの頃は、そうは出来なかったですね。ガーンと踏み込むと、そこで戦いが始まって、ピシャリと終わる。でもフワッと踏み込むと、相手からもフワッと返しがあって、それが続いていく。グラフィックファシリテーションで実現したいことも同じです。論破や戦いではなく、お互いのやりとりや踏み込み合いから一緒に創っていくような、話し合いの場や関係性を創りたいと思っています。
自分の芯を鍛え、心地よく動き続ける
今は、職場でのちょっとした違和感やすれ違いを感じた時に、躊躇する気持ちもありつつ、描き出しながら話すようにしています。何時間もの対話会やワークショップというスタイルじゃなくても、お互いの認識を合わせたり、背景を理解しあったり、仕事の目的に立ち戻れるような使い方はいくらでもできる。グラフィックファシリテーションが日常にあるとないとでは、全然違いますね。
どこでどう使うかは、その人次第で、一人ひとり機会や場を創り出したら良いと思うんです。ありがたいのは、そのやり方を教えられたのではなくて、私らしくどう使っていくのか、自分のあり方、「芯の部分」を鍛えられたこと。
プロコースを終えた時に、プロのグラフィックファシリテーターとしての自分らしい姿が完成するというわけではなく、日常の生活と照らし合わせながら、変わり続け、動き続けていく。でもそれが自然で、自分らしく、今までよりずっと楽な感覚。プロコースの修了生はみんな、それぞれ自分の山を見つけ、自分らしく、気持ちよく登り続けていると思います。
【馬場麻里子プロフィール】
一般社団法人グラフィックファシリテーション協会 認定プロフェッショナル。
地域医療・リハビリテーションを幅広く展開する精神科病院で、当事者、家族、支援者の対話の場を数多く作ってきた。現在は障害を持つ人の「働きたい」を実現するため日々奮闘中。
作業療法士/就労支援 Small Steps サービス管理責任者/ホワイトボード・ミーティング®アドバンス・認定講師
(2024年8月インタビュー)
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