Effects and utilization of graphic facilitation
グラフィック
ファシリテーションの効果と活用
主体性を育む
グラフィックファシリテーション

グラフィックファシリテーションは、
「話し合い」を同時進行で絵や色、線の揺らぎを使って描き出していく、新しいファシリテーション技術です。
まだ言葉になっていない、その場の真意や潜在的なものを絵や線や色を使ってあぶり出し、その場に響かせていきます。目にも見えない、言葉にもならないものを「見える化」することで、みんなで共有し、自覚化することが可能になります。
ファシリテーターではなく、描いた絵が、話し合いや会議の「場」をファシリテートすることを目指しています。
グラフィックファシリテーションは、「話し合い」が起こる場面であれば、職場でも、学校でも、家庭でも、自分一人のためでも、さまざまな場面で、活用することができます。
特に、表面的な議論や、結論を出す前提になっている打ち合わせ、論破や言ったもん勝ち/負けが起こりがちな話し合いの時に、その力を発揮します。
多くの「議論」は、結論を出すことが前提になっていて、例え参加者が納得していなかったとしても、話し尽くさずに急いで決めがちです。そのため、後から、ちゃぶ台返しが起きることもしばしばあります。
グラフィックファシリテーションは、表面的な議論や論破で終わらせず、その場に参加しているみんなが腹落ちして主体的に取り組めるよう「議論」を「対話」の次元へと深めていきます。
「対話」は、結論を出すことに固執しません。話し合いや会議の参加者が、お互いの意見や主張の「背景」を深く理解し合うことを大切にしています。「議論」を「対話」の次元に深めてから「決める」ことで、参加者の主体性が育まれるからです。

グラフィック
ファシリテーションの効果
どうして「議論」が「対話」へといざなわれるのか。
グラフィックファシリテーションの特性が、
話し合いの場で大きく2つのことを促進していくからです。
①絵が「拡散」を後押し
絵や色、線の揺らぎによって、自分の言わんとすることや心情、発言の背景が描かれていくので、
「発言してよかった」「他の人が私の気持ちを代弁してくれた」
「周りと共有できたことで、腑に落ちた」
「会議が楽しい」「参加した意味を感じられた」など、
参加者同士の共感を呼び、心が動く話し合いの場づくり(場の活性化)を促進します。
それによって、固定観念や思い込みの「枠」や「義務感」「遠慮」などがだんだんとはずれていき、言いにくいことも含めて、参加者が自分の思いや考えを十分に出せる話し合いを実現します。


②参加者による「収束」を後押し
グラフィックファシリテーションで「拡散」に伴走すると、話し合いの結論を出すときにも効果を発揮します。
グラフィックを眺めることで、話し合いのプロセスや熱量を思い出し、俯瞰的にふり返ることができます。
それによって、参加者が自らの感覚や気づきに立ち戻って、論点を整理したり、取り組みの優先順位を見出すことができます。
参加者自身で話し合いをまとめ(構造化し)、決めることを後押しするので、主体性は自然と高まり、行動の原動力へとつながります。
こんな時に、
グラフィック
ファシリテーション!
グラフィックファシリテーションは、
さまざまな場やシーンで活用できる汎用性の高さも魅力の一つです。
目的に合わせて、まるで魔法のように力を発揮します。
-
変革する
- 風土改革
- 働き方改革/DX推進
- リーダーシップ育成/開発
- キャリアデザイン/セカンドキャリア
- 町づくり/地域おこし
- 経営トップ/役員交代
- 新首長/新社長の誕生
- 世代交代
絵になっているから、引き戻されない!
-
合意する
- ビジョン策定・浸透
- パーパス刷新・自分ごと化
- 経営戦略/中長期方針/中期経営計画の策定・合意
- チームビルディング
- 自治体運営/住民参加/シティプロモーション
無自覚が見える化するから、腹落ちできる
-
響かせる
- イベント
- パネルディスカッション
- 講演会/セミナー
- 周年施策/年次大会/創立記念
- プレゼンテーション
- 動画
- ストーリーテリング ビジュアライゼーション
心情が描かれるから、本意が伝わる!
-
あぶり出す
- 本音
- 価値観
- 思い込み
- 習慣
- 未来
- アイデア/インサイト
- 顧客ニーズ/ユーザーニーズ
言葉にならない感覚が表現されるから、引き出される
グラフィック
レコーディングとの違い
グラフィックファシリテーション(グラファシ)と
グラフィックレコーディング(グラレコ)は、
同時進行で話を描くところはよく似ています。
というのも、どちらも「スクライビング」の一種だからです!
グラフィックレコーディングやマインドマップ、スケッチノーティングといった言葉を聞いたことがありますか?
描くことはもちろん、ノート術やアイデアプランニングなどに興味のある方は、耳馴染みがあるかもしれません。
実は、これらはすべて、グラフィックファシリテーションと同じく、絵や文字を使って可視化する技術「スクライビング」の一種です。
アーティストであり、世界的に認められているスクライビングの実践者ケルビー・バードのまとめより「スクライビング」について、簡単にご紹介します。
「スクライビング」は、1970年代初頭、カリフォルニア州のベイエリアで取り入れ始めた、現代的な可視化の手法です。一般的には、絵やマップ、図やモデルを通じて、未知のものを明らかにする行為と定義されています。
「スクライビング」には、さまざまな種類があります。
いずれもリアルタイムで描写するのは同じですが、アプローチの仕方が少しづつ異なります。

出典:『場から未来を描き出す――対話を育む「スクライビング」5つの実践』ケルビー・バード、山田夏子/監訳、牧原ゆりえ・北見あかり/訳(英治出版)から抜粋および図化

グラフィックファシリテーション(グラファシ)とグラフィックレコーディング(グラレコ)は、両方とも名前に「グラフィック」がつくことや同時進行で話を描くところは、よく似ています。いずれの手法も日々進化しているのでこの限りではありませんが、それぞれの特徴をとらえ、場の目的に応じて取り入れることが大切です。
グラフィックレコーデイングは、通常、言葉と絵を対にして描いていく方法で「記録(レコード)」を目的として描きます。
図解やフレーム、チャートなどを使って話を整理し、見やすくきれいに配置したり、わかりやすくまとめることが重要になります。
グラフィックファシリテーションは、「ファシリテーション」を目的として描きます。
そのため、話している人の様子や表情、感情などを鏡に映すように描いていきます。「モヤモヤ」している様子なら「モヤモヤ」と、「ぐちゃぐちゃ」した様相なら「ぐちゃぐちゃ」と描きます。「絵」としての仕上がりのために、きれいにまとめることはせず、
その場の参加者の主体性がどれだけ育まれたか、その話し合いが創発的で活性化したか、に目的をおいて描いていきます。